「香港デモレポートVol.1_23万人が訴える自由と民主主義」において、香港のデモが始まったきっかけから7月上旬までのデモの様子をお伝えしました。
以降、デモは激しさを増し、警察側の集団に妊婦が攻撃されたり催涙ガスに住民が巻き込まれたりするほどにまでなっています。
上水でのデモ隊と警察との衝突
7月13日、中国本土との国境に近い上水という場所でデモ隊と警察との衝突が起きました。
しかしこのデモは逃亡犯条例に反対するものではありませんでした。
数年前、香港政府が新たな観光政策を導入した結果、中国本土から多くの観光客が来るようになりました。
彼らは香港で日用品を大量に買い込み、商店や道が混雑して地元住民の生活が脅かされたのです。
その影響を最もひどく受けたと言われていたのがこの上水でした。
上水で警察はデモ隊に対して放水で応酬し、15:30に始まったデモは深夜まで続きました。
この頃から警察との衝突、デモ隊による道路封鎖が始まりました。
裏で繋がっていた警察と白シャツ軍団
7月21日に元朗駅(深圳に近い北部の地域です)で起きたデモの際に現れた白シャツ軍団。
最初はデモ隊に反感を買う市民団体のように報じられていましたが、のちに裏で警察と繋がっているということが発覚しました。
この元朗駅でのデモでは、白シャツ軍団に妊娠中の女性が攻撃されました。
デモは毎週恒例に。主張も五大訴求へと
7月下旬になると、デモ隊と警察との衝突は週末恒例となり、催涙ガスの使用も毎回のこととなりました。
行政長官のキャリー・ラムは辞意を中国本土に伝えましたが、「自分の始末は自分でつけろ」と一蹴され、認められませんでした(日本でも報道済)。
デモ隊(最近ではメディアも地元住人も彼らを“protestors”と呼んでいます)の主張は逃亡犯条例改正案反対に加え
・警察がデモ隊のことを「暴動」と定義したことの取り消し
・逮捕されたデモ隊メンバーの釈放
・警察の暴力行為に対する独立調査委員会の設置
・普通選挙の実現
を要求し始めました。
これがいわゆる「五大訴求」と呼ばれるものです。
彼らは至るところで集会やポスターの掲示を行い、この五大訴求を掲げるとともに、光複香港―香港の主権を取り戻せ、あるいは香港は香港であれ、と要求し、警察を中国本土の手先として批判の矛先としています。
※文中のprotestorsはprotesterと表記される方が一般的ですが、地元メディアの表記に合わせてprotestorsとしています。
(記者:鈴木まりこ)